【第1回】管理職が「脱・我流」を図るには?管理職に求められる役割の正しい理解
2026年04月10日

中小企業の管理職について、このような嘆きの声を耳にすることがあります…「ウチの管理職は“我流”でやっている」。
経験を重ねる中で、自分なりのやり方を身につけてきた人材ほど、自身の経験値を基に管理職の仕事に臨んでいるケースが見られます。
しかし、我流のマネジメントでは偏りが生じやすいことや、市場環境の変化が早いVUCA時代においては成果創出に限界があります。
期待される管理職になるためには、個人の経験則を重視すること以上に、本来求められる管理職の役割を正しく理解し、その役割に基づいた任務遂行が基本といえます。
そもそも管理職の役割とは
では、「脱・我流」を図るための、管理職の役割を「4つの立場」で捉えてみましょう。
まず、第一に「リーダー」としての立場があります。
部下や後輩など、下位層への好ましい影響力の発揮が求められます。部下や現場の状況を把握した上で適切な対応を取り、円滑な部門運営を行います。
また経営・部門方針などの浸透を図ることで会社と下位者とのベクトルを合わせ、チームのモチベーションを高い状態で維持します。
第二に、「フォロワー」としての役割があります。
管理職は上司であると同時に部下の立場でもあり、部下として上位者との関係性を良好に保つことも重要な役割です。
そのためには、様々な切り口から主体的に具申提案する姿勢・行動や、期待に応えようとする態度・取り組みなどが求められ、これらの量と質を高めることで良き部下になっていきます。
第三には、他部門・他部署との調整役という意味合いの「コーディネーター」が挙げられます。
組織で活動を進めるメリットに「相乗効果」があります。自部門だけでは生み出す成果に限りがありますが、他との効果的な連携を取れることで、生産性がより一層向上します。
管理職としてその調整を図る、という役割を指します。
最後に、管理職自身も何某かのプレイヤー業務を持っていますので、「プレイヤー」としての役割も外せません。
特に中小企業の場合、現実的にはこの役割が大半を占めている、という管理職が多いのが実情ではないでしょうか…。
しかし、本来の管理職に求められる役割は、上述の通りいわゆるマネジメントの遂行が中心なため、「プレイヤー」としての業務は必要最小限に留めることが理想と考えられます。
場面に応じて、これらを進めることが管理職の役割といえます。
我流に走ると偏りが生じやすいとありましたが、例えば現場視点に偏れば、往々にして経営目線とのギャップが生まれます。
また、目先の成果にこだわると、時間の掛かる育成は後回しになりがちで組織づくりが進みません。
異なる切り口で役割を多面的に理解し、状況に応じて柔軟に役割遂行していくことがポイントといえるでしょう。
環境変化への対応
また、管理職としての役割遂行に不可欠な要素として、冒頭で触れた環境変化への対応が挙げられます。
昨今、「これまでの常識が今は非常識」という言葉が様々な場面で聞こえてきます。ビジネス環境は今、かつてない速度で変化しています。市場のグローバル化、AI技術の進展、人材価値観の多様化、また社会課題への対応など、企業を取り巻く前提条件そのものがこれまでの常識とは異なっています。
こうした環境下においては、過去の成功体験に基づく我流スタイルへの依存だけでは、持続的な成長が望めないのは明白でしょう…。
重要なことは、変化を「脅威」と捉えるのではなく、「適応と進化の機会」として認識する姿勢です。
そのためには、先述の4つの役割を正しく遂行する力が求められます。具体的には、フォロワーとして経営・上位層の意向を適切に汲み取ってベクトル共有を図り、その方針に沿って部下に対するリーダーシップの発揮レベルを向上させる。
またコーディネーターとして、他部門との情報共有・相互理解を積極的に進め、意思決定や具体策推進のスピードを高める。
変化の時代において競争優位を生み出すのは特別な戦略ではなく、変化に柔軟に向き合い続ける組織の姿勢と実行力であるといえます。
そこにおいて、期待される役割を理解した上で、現場でリードするのが管理職の役割です。
「脱・我流」とは、決してこれまでの自分のやり方を否定することではありません。
経験を土台にしつつ、役割理解と環境適応という視点を取り入れ、行動をバージョン・アップさせ続ける姿勢を持ち、そして成果につなげることといえます。
役割を正しく認識し、期待に応える管理職として貢献度を高めていただきたいと思います。
