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人材開発コラム

COLUMN

管理職研修のポイント

管理職研修のテーマはどのように決めるべきか?

2026年04月24日

管理職研修のテーマはどのように決めるべきか?

管理職研修のテーマは、つい「何を教えるか」から考えてしまいがちです。
しかし、その決め方では研修に対する現場の納得感が得られず、効果の上がらない研修となってしまうケースや、時には現場からの反発を生んでしまう場合もあります。

本コラムでは、テーマ選定のミスが引き起こす問題を整理した上で、「理想と現実のギャップ」という観点からテーマを導く方法を解説します。

1.テーマ選定のミスが引き起こす事態

 まずは、テーマ選定を誤ると、起きてしまうネガティブ状況についてご説明します。

  • 研修の目的が理解されず、「なぜ、わざわざ時間を割いてやらなければならないのか分からない」という反発が生まれる
  • 現場で抱いている課題認識と研修の内容がずれていて、「企画者は現場のことをわかっていない」という不信感が生まれる
  • 現場の課題と研修内容が結び付けられず、「良い話を聞いた」で終わる

これらの状況を抱えたまま研修を実施してしまうと、研修効果が出ないばかりか、現場との関係にマイナスに働いてしまいます。

これらは受講者の意識の問題ではなく、「研修テーマと現場での課題認識のズレ」によって起きる構造的な問題です。
つまり、研修効果はテーマ設定によって、大きく影響を受けるということです。

2.ありがちなテーマ選定のNGパターン

① 思いつき・印象で決める

過去の出来事や一部の印象から、テーマを短絡的に決めてしまうケースです。
具体的には、

  • 最近、離職が増えた → 「コミュニケーション研修をやろう」

といったように、問題の背景を深く考えず、印象と直結したテーマを設定してしまう場合です。

これは「なぜその問題が起きているのか」が整理されていないため、現場との認識にズレが生まれやすくなります。
実際に、私自身も前職でこの失敗を経験しています。

この時は全3回のプログラムを設計しました。
しかし、現場からの反発により、実質的に1回目で機能しなくなりました。
原因は明確で、

  • 企画側(私)の課題認識と
  • 現場の課題認識

が一致していなかったことです。
テーマそのものではなく、「そのテーマに対する腹落ち」が欠けていました。

② 流行を追う

1on1、心理的安全性、コーチングなど、トレンドのテーマを採用するケースです。
内容自体は有効ですが、自社の課題と結び付けられていなければ「知識としては正しいが使われない」状態になります。

③ 問題の原因を「スキル不足」と捉えてしまう

問題の原因を「スキル不足」と捉え、対応する研修テーマを当てはめるケースです。

例えば
「部下が育たない → コーチング研修」という単純化しすぎた判断です。

しかし実際には、

  • 管理職自身がプレイヤー業務に追われている
  • 育成に時間を使えない構造になっている

といった問題が背景にあることも少なくありません。
このような背景がある場合、仮にコーチングスキルを学んでも実践がなされず、現場は変わりません。

3.テーマは「理想と現実のギャップ」から決める

 では、研修テーマはどのように決めるべきなのでしょうか。
重要なのは、「何を教えるか」という発想ではなく、「どのようなギャップが生じているか」を起点に考えることです。

ここでいうギャップとは、

  • 会社が管理職に期待している状態(理想)
  • 現場で実際に起きている行動(現実)

のギャップです。

例えば、
理想:管理職が部下の現状を理解し、置かれた状況や個性に合わせて部下に関わる
現実:自分の業務で忙しく、部下への関与がほとんどできていない

このギャップがある場合、研修テーマは単なるスキル修得ではなく、以下のように具体化されます。

  • 役割認識を変える
    →「プレイヤーとして成果を出す」から「チームで成果を出す」への意識転換
    →「自分がやる仕事/任せる仕事」について、自分の役割を軸に整理する
  • 業務の持ち方を変える
    → 業務の棚卸しを行い、“手放す仕事”を明確にする
    → 部下への委任プロセス(任せ方・フォローの仕方)を具体的にする

このように、理想と現実の“ギャップ“から考えると、研修テーマは現場の課題に直結した、ものになります。

4.ギャップからテーマを導く実践ステップ

 ギャップを特定するためには、以下のステップで考えることが有効です。

① あるべき姿を言葉にする
  自社にとっての「望ましい管理職の状態」を言葉にする
② 現状の行動把握
  経営陣や人事が「どのような行動を見て不満を感じるのか」を言葉にする
③ ギャップの特定
  理想と現実のどこにギャップがあるかを明確にする
④ テーマへの落とし込み
  ギャップを埋めるために必要な行動・思考を研修テーマにする

このステップで考えることで、「なぜ今この研修をやるのか」を受講メンバーにわかりやすく説明できる状態になります。

5.この決め方のメリット

① 本質的課題にアプローチできる

理想と現実を言語化しギャップを明確にするプロセスを踏むことで、複数の角度から原因を探ることができます。その結果、本質的な課題を見つけることが出来ます。

② 受講者に納得感を持ってもらえる

テーマが現場の実態と結びついているため、受講者自身が「自分ごと」として捉えやすくなります。
納得感があることで、受け身ではなく主体的な参加が生まれます。

③ 現場での実践につながる

テーマが具体的な行動レベルまで落ちているため、「何をすればよいか」が明確になります。
その結果、研修後に行動が変わりやすくなります。

④ テーマ選定の再現性が高まる

ギャップを特定するプロセスを踏むことで、研修企画者の感覚や経験に依存しないテーマ設計が可能になります。
これにより、継続的に質の高い研修設計ができるようになります。

6.まとめ

管理職研修のテーマは、「何を教えるか」ではなく「どのようなギャップが生じているか」から決めるべきです。

この視点を持つことで、

  • 納得感のある研修
  • 現場で実践される研修
  • 課題解決につながる研修

を作ることが出来ます。
テーマ選定は単なる準備工程ではなく、研修の成否を左右する最も重要な意思決定です。

この記事の監修・筆者

上山琢真
上山琢真人材開発部 コンサルタント

前職では上場企業にて役員を務め、事業拡大フェーズにおいて、アジア地域の海外拠点の運営・マネジメントを担うなど、成長組織のマネジメントを幅広く経験。
また、社員数4名から200名規模へと急成長する企業において、事業と組織の両面から成長を支援する中で、人の活性化こそが組織パフォーマンスと収益性を高める源泉であることを実感する。
現在は、これまでの経験を基に「個が力を発揮できる環境づくり」をテーマに、組織・人材開発の支援に取り組んでいる。

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