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人材開発コラム

COLUMN

組織の潜在能力を引き出すために

そもそも何のために

2025年09月22日

社員一人ひとりに半期・一年間の個別目標を設定してもらい、人材育成・人事評価に活用する「目標管理制度」を取り入れておられる企業が多くあります。
この制度を導入されている企業で、評価者研修を行う際、部門別に何名かの方をピックアップしていただき実際の目標を拝見します。

すると傾向として、

手段の目標化

をされているケースが多く見受けられます。

事例で言えば、ある社員の方が、「〇〇部署との会議開催を定着化させる」といった目標を出されていました。
一見すると、数値化されていない面はあるものの、そこまで問題がないようにも見えます。

 

ただ、その目的を掘り下げて聞くと、

「最近、A分野において、お客様のクレームが増えてきている」
「このクレームは、自部署と〇〇部署との連携に起因する要素が大きい」
「ゆえに、クレームを低減させるために、連携強化を図るための会議開催・定着をテーマに選定した」

ということでした。

 

目標設定の背景が上記であるならば、「〇〇部署との会議開催を定着化させる」という目標はNGですね。
今後、その社員の方が骨を折り、〇〇部署との会議が狙い通り定着化したとしても、目的であるクレーム低減が図られていなければ本末転倒です。
目的に沿って、「A分野における顧客クレーム件数 前年比70%削減」といった目標を設定するのが妥当です。

 

先日、ある企業の営業所の課長がこのようなお話をされていました。

「今、うちの営業所は知っての通り所長不在です。結果、決裁者がいないために困っている」
「本社の決裁ができる方々に、発生する都度メールで決裁依頼をしているが、回答までに時間がかかって困るんです」
「だから、適任の人材がいないのはわかるが、とにかく決裁できる人材の異動・常駐をお願いしたい」

この話も一見、決裁者が常駐しなければ問題解決しないように思われます。
ただ実際は、この方の8割方のお悩みは、決裁者が常駐されない状態でも解決しました。
何が行われたかというと、まず、決裁に時間がかかって困る案件を箇条書きで、具体的に洗い出しをしてもらいました。
そして、一つひとつの案件について、決裁者が常駐する以外に意思決定が速く行われる代替案・可能性ある方策を考えていただきました。

「①⑦⑩の案件は、段階的に情報を本社に伝えていれば、決裁スピードは上がる」
「④⑥⑨の事項は、恐らく本社に提案すれば、私の裁量で意思決定ができそうだ」
「②⑤については、顧客に了承を採れば、スピードを求めなくとも問題なく業務が進む可能性が高い」

このようにお考えになられたことを推進された結果、ほぼお悩みがなくなりました。

 

二つの事例共に、

目的意識

が弱かったがゆえに、手段先行の思考に陥り、問題がある・問題が解決しない状況でした。

 

社員の中で、それなりに努力はしているものの、パフォーマンスが上がらない傾向にある人に、この点は共通しています。
逆説的に言えば、ハイパフォーマー・問題解決力に優れた方々の思考特徴には、この目的意識の強さを感じます。
目的を明確化して、目的に沿った方策を考える思考習慣を付けさせることが、我々、上位者の重要な指導観点だと思います。

この記事の監修・筆者

志水浩
志水浩株式会社新経営サービス 専務執行役員
組織開発・教育研修コンサルタントして30年以上のキャリアを有し、上場企業から中小企業まで幅広い企業の支援を実施中。また、研修・コンサルティングのリピート率は85%以上を誇り、顧客企業・受講生からの信頼は厚い。 管理者に対する、成果性の高い人材開発プログラム「パフォーマンス向上プログラム」の開発責任者。

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