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【第2回】管理職間の相互理解と行動変容を生み出す仕掛けとは?

2026年05月08日

【第2回】管理職間の相互理解と行動変容を生み出す仕掛けとは?

「営業は無理を言う」、「製造は融通が利かない」…。このような部門間の摩擦は、多くの中小企業で日常的に起こっています。皆さんも「あっ…ウチもそう」と思われたのではないでしょうか(笑)。
その背景にあるのは、各部門で管理職がそれぞれの目標や制約の中で「自部門最適」を優先してしまっている、というプロセスの常態化です。
結果として他部門の事情が見えなくなり、意図せず対立が生まれてしまう…。こうした状態が続けば、いくら個々の管理職が優秀でも、組織全体の成果は頭打ちになります。

にもかかわらず、「放っておいても、そのうち分かり合えるだろう」と自然な問題解消に任せてしまうケースは少なくありません。
しかし、相互理解は自然には生まれません。なぜなら、立場・役割・評価指標などが異なる以上、管理職は無意識に自部門を優先します。
その積み重ねが、他部門からは“利己的”に映り、関係性を悪化させていきます。だからこそ、相互理解を“設計する”ことが必要になります。

相互理解を生む「場」の設計

まず押さえるべき前提は、「管理職同士では連携の場は自然に生まれにくい」という点です。日々の業務に追われる中で、他部門との対話は後回しになりがちです。
そのため、経営層や人事部門が主導し、意図的に場を設けることが重要です。単なる情報共有ではなく、相互理解を目的として“設計された場”が必要です。

そこでは、例えば次のような取り組みが考えられます。

  • 各部門がお互いに「自部門の目標・制約・評価指標」を共有するセッション
  • 他部門の立場になって意思決定を行うケース・スタディ
  • 部門間の課題をテーマにした対話型ワーク・ショップ

重要なことは、単に「話す機会」をつくるのではなく、「相互理解が進む設計」になっているかどうか、という点です。

相互理解を深める3つのアプローチ

① 背景の理解

「なぜ営業はその納期を求めるのか?」「なぜ製造は制約を外せないのか?」表面的な利害関係に終始しがちですが、その裏にある事情を共有することで、相手の言動は“非合理”ではなく、“必然”として捉えられるようになります。

② 感情の共有

場を共にした対話を通じて、他部門の管理職が抱えるストレスやプレッシャー、また苦悩や葛藤が見えてきます。
人は、相手の事情だけでなく感情を理解したときに、態度や言葉が変わります。結果として、コミュニケーションの質が向上し、関係性が良好になります。

③ 共通言語の形成

例えば「成果」「育成」「主体性」といった言葉は、人によって解釈に差が出やすいものです。
この差がズレとなり、議論の平行線を生んでしまいます。
抽象的な、もしくは重要な概念ほど定義を揃え、共通の土俵で対話できる状態をつくることが不可欠です。

相互理解がもたらす変化

こうしたプロセスを通じて、「自己客観視」する機会が生まれます。
自分の考えや行動に対して他部門からフィードバックを受けることで、自身の無意識の言動や思考の偏りに気づくことができます。
この“気づき”が、成果に向けた管理職としての行動変容を促進させます。

さらに、このような場での対話は「原点回帰」を促します。
先述の通り、部門間の対立の多くは、部分最適の積み重ねから生まれていることが多々あります。
しかし本来の目的は、組織全体の成果と価値の創出ではないでしょうか。
他部門の管理職との対話を通じて原点に立ち返る意識が高まり、意思決定の軸が揃い、全体最適の行動が生まれていきます。

相互理解と行動変容は、一朝一夕には実現しません。
しかし、場を設計し、対話を積み重ねれば、その土壌は確実に育ちます。部門間の対立は、個人の能力の問題以上に「仕組みの問題」が大きいといえます。
だからこそ、相互理解を自然な流れに委ねるのではなく、“意図的につくるもの”と捉え、改良を図り続けることが不可欠なのです。

仕掛けとは、特別な施策ではありません。
相互理解を生み出すプロセスを、いかにして日常に組み込むか…。その設計こそが、これからの組織開発に求められているのです。

この記事の監修・筆者

岡野隆宏
岡野隆宏

広告会社、研修会社にて人事・教育に関する実務を担当。
その経験を基に、現在は「社員のモチベーション向上」をテーマとして主に中堅・中小企業の組織・人材開発を展開中。クライアント企業に対する研修のみならず、外部団体での講演も精力的に行っており、受講者からは「わかりやすく、現場経験に基づいた話に説得力、納得感がある」と定評がある。

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