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経営人材

5年後の会社を任せられる幹部は、今のままで育ちますか?

2026年06月26日

5年後の会社を任せられる幹部は、今のままで育ちますか?

「大丈夫です」と即答できない本当の理由

「今の幹部・管理職で、5年後も会社は成長していますか?」

この問いに、私の知る限り「大丈夫です」と胸を張って答えられる中堅・中小企業の経営者・人事部長は、それほど多くありません。
誤解のないように申し上げると、今の幹部が力不足であるという単純な話ではありません。
むしろ日々の売上確保、納期対応、品質維持、部下育成など、現場を懸命に支えているのは間違いなく彼らです。

ただし、「今を回す力」と「5年後をつくる力」は同じではありません。
今日の業務を滞りなく進める力と、環境変化を読み、会社の進むべき道を考え、必要な打ち手を自ら決めて動かす力。
この二つの間には、想像以上に大きな隔たりがあります。経営者はそのことを、理屈ではなく肌感覚でわかっています。

だからこそ、冒頭の問いに即答できないのです。

幹部が育たないのは、本人の資質だけの問題ではない

では、なぜ幹部は「経営人材」としての力を十分に備えるに至らないのでしょうか。
私の経験からいえば、理由は大きく三つあります。

第一に、考える機会が圧倒的に不足していることです。
幹部は日々、目の前の問題対応に追われています。
その忙しさの中で「この会社は5年後、何で食べていくのか」「自部門はどのように変わるべきか」と腰を据えて考える時間は、ほとんど持てていません。

第二に、経営情報に触れる機会が少ないことです。
財務、収益構造、投資判断の背景、市場や競合の変化。
こうした情報を十分に知らないままでは、経営判断の訓練はできません。情報がない人に、経営者目線を持てと言っても、それは少々酷な話です。

第三に、これが最も根深いのですが、社長や一部の役員が答えを出し過ぎていることです。
トップが考え、決め、指示する。幹部はその実行に集中する。一見、効率的に見えますが、この状態が続くと幹部は「決められたことを確実にこなす人」にとどまります。

つまり、幹部が育たないのは、本人の資質だけの問題ではありません。考える機会、判断に必要な情報、そして決める経験が不足している、構造の問題でもあるのです。

処方箋は「中期経営計画づくり」を幹部に行わせること

構造の問題である以上、座学研修だけでは解決しません。

もちろん研修にも意味はあります。しかし、経営人材は教室の中だけでは育ちません。
顧客の生の声を聴き、自社の現実を直視する。数字を読み、勝ち筋を考え、仲間と議論し、社長にぶつかり、最後は自分たちで決める。
こうした自社のことを真剣に考えることで幹部の視座は上がっていきます。

その有効な処方箋の一つが、「中期経営計画」を幹部に検討させることです。
選抜された幹部が、自社は何によって成長してきたのか、どこに強みがあり、どこに弱さを抱えているのかを改めて見つめ直す。

そのうえで、財務体質、市場・競合の変化、組織・人材の課題を一つひとつ確認していく。
そして、5年後のありたい姿と重点戦略を自分たちの言葉で描く。

このプロセスは、先ほど挙げた三つの欠落を一気に埋めます。考える機会が強制的に生まれます。経営情報に正面から触れます。
そして、トップの指示を待っているだけでは、自分たちの言葉で5年後の会社像を描くことはできません。

実践が真の「経営人材育成の場」となる

ただし、中期経営計画は「作って終わり」では意味がありません。立派な冊子ができても、実行されなければ絵に描いた餅です。

大切なのは、描いた施策を幹部自身が実行し、結果に向き合うことです。
うまくいかない現実にぶつかり、原因を考え、手を打ち直す。その泥臭いPDCAまでやり切って、はじめて計画づくりは育成になります。

幹部自身が会社の未来を考え、議論し、決めたことを実行する。
この経験を通じて、幹部は「自部門の責任者」から「会社全体を担う経営人材」へと成長していきます。

冒頭の問いに戻ります。
「今の幹部・管理職で、5年後も会社は成長していますか?」

この問いに「大丈夫です」と答えられる会社は、幹部に機会を渡し、情報を渡し、決める経験を渡してきた会社です。

5年後の経営陣は、5年後に突然現れるわけではありません。
今から意図して育てていくものです。

まずは、幹部に会社の未来を考えさせる場をつくることから始めてみてはいかがでしょうか。

この記事の監修・筆者

志水浩
志水浩株式会社新経営サービス 専務執行役員

組織開発・教育研修コンサルタントして30年以上のキャリアを有し、上場企業から中小企業まで幅広い企業の支援を実施中。また、研修・コンサルティングのリピート率は85%以上を誇り、顧客企業・受講生からの信頼は厚い。
管理者に対する、成果性の高い人材開発プログラム「パフォーマンス向上プログラム」の開発責任者。

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