【第3回】なぜマインドセットの進化が必要なのか?
2026年06月05日

多くの中小企業経営者から、自社の管理職に対する不満を耳にする機会があります。
不満の内容は様々ですが、近年増えているのは「これまでと同じやり方では通用しない状況下でも、創意工夫せず、過去からの延長線上の、同じやり方で乗り切ろうとする」という不満です。
「もはやこれまでの常識が通用しない時代」ともいわれますが、まさにこの点を指摘されているようです。
目次
「現状維持は死と同じ」時代
この問題はスキル不足が原因とは思えません。
では何がネックになっているのか?
それは専門知識や技能といった、積み上げていく表層部分の話ではなく、「考え方」が市場環境の変化についていけていないという、本質的な面ではないでしょうか?
そこで重要になるのが、“マインドセットの進化”です。
マインドセットとは、過去の経験や成功体験によって形成された「物事の捉え方」や「思考傾向」などを意味する言葉で、行動を決める「判断の前提」ともいえます。
人は無意識のうちに、これまでと大差のない、自分の慣れや思考のクセに基づいて行動する傾向があります。
それで通用するケースは問題ありません。しかし、状況が変化している中では考え方も現状や将来を踏まえて再考しなければ、いくら新たな専門知識や技能といった表層部分を吸収しても、それらは充分に活かされないでしょう。
結果、望む成果にはつながっていかないことが見えてきます。
かつては多くの企業で「言われたことを確実にやる」、「前例に従う」という姿勢が評価され、組織風土として根づいていました。
しかし、今はどうでしょうか?
市場環境の変化は激しく、人材不足も慢性化しています。
また、社員の価値観の多様化も進み、企業を取り巻く外的・内的環境はますます複雑化していくことが予想されます。
さらに、DXやAIなどの新技術・仕組みによって、人材のあり方や仕事の進め方は大きな転換期を迎えています。
このような環境下において、「今まではこれで問題なかった」という発想だけでは対応しきれません。
変化しないこと自体がリスクとなる時代において、管理職には「現状維持は死と同じである」という危機感が求められています。
管理職のマインドセットが組織に与える影響
管理職は、経営と現場、上司と部下、部門と部門など、組織の上下左右との関わりを円滑にする、結節点機能を果たす役割を担っています。
その立場において、現状に合わない従来型の指示や依頼、情報共有などを出していては、役割を果たしているとはいえません。
また部下育成でいえば、上司が思考停止状態になれば、部下の思考も止まってしまい、成長に導く行動は期待できません。
このように、管理職のマインドセットは組織全体に大きな影響を与えていきます。
また、マインドセットは行動の「方向性」と「活動量」にも影響を与えます。
例えば、「(これまでの経験を基に新たな発想をもって)自分たちで問題を改善できる」と捉えると、情報を集め、部下を巻き込み、試行錯誤しながらも問題解決に向けた可能性を模索し続けるでしょう。
一方、過去に捉われると思考が限定され、狭い範囲でしか行動できないため、行き詰まることが想像されます。
組織力の差は、“管理職の思考の差”によってもたらされる点も多分にあると言って過言ではありません。
自己客観視がカギを握る
多くの管理職は、自分の考え方のクセに気づいていません。
では、そのような中、どうすればマインドセットを進化させられるのでしょうか。ポイントは自己客観視を図ることです。
他者との対話や異なる価値観、物事の見方に触れる場を持ち、他人から見える自分の姿についてのフィードバックを得ること=自己客観視がマインドセット進化の重要な要素になります。
また、
- 「なぜ自分の指示で、部下は動かないのか?」
- 「自分は周囲の期待に応えることができているのか?」
- 「自分の常識は今の環境に合っているのか?」
といった問いを、他人(周囲、相手)の目になって自身に投げ掛け、自分を見つめ直す習慣をつくることもひとつの方法です。
知識やスキルの習得だけでは限界があるため、自己客観視しながら“考え方に磨きをかける”ことが、今後はより重要になっていくと考えられます。
変化の激しい時代において、企業成長を左右するのは、制度やノウハウだけではありません。
管理職がどのような思考で現実や未来を捉え、行動を変え続けられるか。その“マインドセットの差”が、企業の未来を分けていくのではないでしょうか。
