5年後の組織図から逆算する幹部育成
2026年10月02日

幹部育成というと、今いる管理職をどう伸ばすかという発想に陥りがちです。
しかし、会社は5年もすれば事業も規模も変わります。
今の組織を前提に育成を進めても、未来に必要な人材は育ちません。
大切なのは、5年後の組織図を先に描き、そこから逆算して育成を設計することです。
今回はその進め方を考えてみましょう。
目次
現在の組織図ではなく未来の組織図を見る
多くの会社では、育成の議論が今の組織図をもとに行われています。
「この部署の課長を次の部長に」といった具合です。
しかし、これはあくまで現在の延長線上の発想にすぎません。
5年後、会社が新規事業に乗り出していたり、事業規模が倍になっていたりすれば、求められる役割はまったく変わってきます。
まず描くべきは、現在の組織図ではなく、ありたい未来の組織図です。
そこから逆算することで、育成すべき人材像が明確になります。
5年後に必要な役割を洗い出す
未来の組織図が描けたら、次はそこにどんな役割が必要になるかを具体的に洗い出します。
新規事業を率いるリーダー、海外展開を担う責任者、デジタル化を推進する部門長。
今は存在しないポストが、5年後には不可欠になっているかもしれません。
ここで重要なのは、人ではなく役割から考えることです。
「誰を昇進させるか」ではなく「どんな役割が要るか」を先に定めることで、育成の目標がぶれなくなります。
幹部候補者の成長課題を明確にする
必要な役割が見えたら、それを担う候補者一人ひとりの成長課題を明らかにします。
現在の力量と、5年後に求められる水準との差こそが、埋めるべき課題です。
ある候補者には数字を読む力が、別の候補者には人を束ねる力が足りないかもしれません。
次世代リーダーとして期待する人材ほど、この差を丁寧に見極めることが欠かせません。
課題が具体的になれば、育成の打ち手も自ずと定まってきます。
経験配置と育成テーマを設計する
成長課題を埋める最も有効な手段は、実際の経験です。
人は座学だけでは育ちません。
あえて畑違いの部署を経験させる、規模の小さな事業の責任を任せてみる。
そうした計画的な経験配置が、幹部としての幅を広げます。
あわせて、経営を疑似体験できる場としてジュニアボードを設けるのも効果的です。
ジュニアボードとは、若手や中堅の幹部が実際の経営課題を議論する、疑似的な役員会のことをいいます。
現実のテーマと格闘するなかで、候補者は経営者としての視座を養っていきます。
育成ロードマップをつくる
最後に、これらを時間軸の上に並べ、育成ロードマップとして描きます。
いつ、誰に、どんな経験を積ませ、どの段階でどのポストを任せるのか。
5年という期間を見据えて筋道を立てることで、場当たり的だった育成が計画的な取り組みへと変わります。
ジュニアボードでの学びや経験配置を組み込んだロードマップは、次世代リーダーが着実に育つ道筋そのものとなるのです。
未来の組織図から逆算する。この視点を持つだけで、幹部育成は驚くほど具体的になります。
5年後に慌てないために、その準備は今から始めておきたいものです。
