“Z世代社員の退職防止”の鍵は管理職
“不満”ではなく“不安”で辞める若手を定着させる管理職の行動とは
2026年08月07日

“信頼していた部下から、突然退職の申し出があった”
こんな心臓が止まるような経験はありませんか?
私は前職では学習塾に勤めており、小中学生へ数学・理科の指導をしながら、管理職として部下育成を行っていました。
ある日、信頼していた若手の部下から突然退職の申し出がありました。頭が真っ白になり、言葉を失ったことを覚えています。
その若手社員には信頼して仕事を任せていましたし、仕事の進捗について積極的に聞き取り、改善策を示していました。
何より、本人は日々楽しそうに仕事をしていました。
退職理由を聞くと「会社に不満はありません。仕事が楽しいのも本当です。ただ他にやりたいことができて・・・」と歯切れの悪い言葉しか出てきません。
そのため、当時の私にはなぜ退職という決断に至ったのか全く理解できず「Z世代の考えることはわからん!」と、考えることを放棄していました。
恥ずかしながら、管理職であった私はZ世代社員がなぜ退職という選択をしたのか何も理解していませんでした。
このコラムを読んでいただいている”あなた”は、Z世代の若手社員が何を考え、退職の決断をしたのか理解できていますか?
本コラムでは管理職がZ世代社員退職の要因であると考え、退職を防ぐ管理職の”3つの行動”について紹介します。
Z世代社員の退職でお悩みの方の一助となれば幸いです。
目次
1. なぜZ世代社員は”不満がない”のに辞めるのか
“若手がやめる理由”と聞かれてどんな内容を思いつきますか?
“給料が低い” “残業が多い” “人間関係が合わない” などの不満が浮かぶ方が多いのではないでしょうか。
実際、厚生労働省の調査でも退職理由の上位は長年”労働条件”や”賃金”が占めてきました。
(出典:厚生労働省「若年者雇用実態調査」)
しかし近年、こうした目に見える不満だけでは説明がつかない退職が増えています。
レバレジーズ社の2025年調査では、Z世代が転職を決めた理由の第1位は”この会社では理想のキャリアを描けない”で、44.0%。X・Y世代(現在の30~40代)の36.0%よりも高い数値です。
しかも、約5割が今の働き方に満足しているにもかかわらず、約6割が転職にポジティブな印象を持っていました。
(出典:NALYSYS「【2025年版】Z世代の離職についての調査レポート」 https://media.nalysys.jp/article/6893/)
今が不満だから辞めるのではなく”このままで自分の将来は大丈夫か”という不安が退職の引き金となっています。
SNS利用が当たり前になった現代では、全国の同世代の成功・昇進・転職などがリアルタイムで目に入ります。
そういった情報に触れているうちに「同世代が様々なチャレンジをして成長しているのに、このまま今の会社にいて成長できるのか」と不安を感じ、やがて退職という選択をしてしまうと考えられます。
しかし、将来への不安を感じた若手が、必ずしもすぐに退職するわけではありません。
今の会社で成長できる実感や、将来担う役割のイメージを持つことができれば、不安は次第に和らいでいくはずです。
反対に、日々の仕事が自分の将来にどうつながっているのか分からない、成長している実感が得られない、今後のキャリアについて上司と話す機会もない、という状態が続けば、「この会社にいても成長できないのではないか」という思いは強くなります。
そして、その不安を解消する手段として、転職を考えるようになります。
前述のレバレジーズ社の調査で、Z世代の多くが「この会社では理想のキャリアを描けない」と感じている背景には、会社がキャリアの道筋や成長機会を十分に示せていないことに加え、管理職が部下の希望や不安を把握し、現在の仕事と将来の成長を結びつける対話ができていないこともあるのではないでしょうか。
2. Z世代社員の退職を防ぐ管理職の”3つの行動”
ここではZ世代社員の退職防止の鍵になる管理職が、Z世代社員の不安を解消し退職を防ぐために行う”3つの行動”を紹介します。
① 理想のキャリアを描かせる
管理職側から理想とするキャリアを描く時間を設けます。
仕事における長期的な目標と目標達成計画を立て、キャリアイメージを明らかにします。
ただ、この目標や計画が本人の望む方向でなければ”目標の押し付け”になってしまいます。
事前に部下との対話により”どんなキャリアを望んでいるのか”を知り、どういったキャリアが描けるか管理職自身がイメージしておくことが大切です。
② 定期的な対話で動機付ける
1on1ミーティングなどで定期的な対話の場をつくり、設定した目標・計画に向かって上手く動けているのかを確認し、フィードバックすることで動機付けます。
ポイントは業務の進捗確認などをする”管理の場”にしないことです。成長の支援や動機付けを目的として、キャリアや仕事の悩みについて対話を行うことが大切です。それにより、仕事をする中で新たに生まれる不安を定期的に解消していきます。
③ 管理職自身が”部下のキャリアの見本”となる
管理職自身が仕事の取り組み方や考え方などで、部下のキャリアの見本になるよう行動します。
部下は身近に見本となる人がいることで、自分が将来どうなっていくのかをイメージしやすくなり、将来への不安が減りやすくなります。
まとめ
信頼していた若手社員が、ある日突然退職してしまう。
この理由の正体は”不満”ではなく”将来への不安”であり、管理職がZ世代社員の不安を解消できていないことが要因と考えられます。
本コラムでは”管理職の行動がZ世代社員の退職防止の鍵になる”として、退職を防ぐための”3つの行動”を紹介しました。
Z世代社員の退職でお悩みの方が、本コラムで退職防止のヒントをつかんでいただければ幸いです。
