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~管理職が研修内容を実践するために必要な4つのポイントを紹介~
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研修は好評だった。それなのに、なぜ現場は何も変わらないのか?
~管理職が研修内容を実践するために必要な4つのポイントを紹介~

2026年08月17日

研修は好評だった。それなのに、なぜ現場は何も変わらないのか?<br>~管理職が研修内容を実践するために必要な4つのポイントを紹介~

管理職研修を実施した直後は、受講者から「勉強になった」「明日から実践したい」という声が上がり、手ごたえを感じていた。
それなのに、数カ月後には研修前と同じ行動に戻っている。

「受講後のあの感想は一体何だったんだろう…」
このような経験はないでしょうか。

本シリーズでは、研修を受講した管理職の行動が変わらない原因と、研修内容を現場で実践し定着するための方法を、「動機・能力・機会・強化」の4つの観点で整理します。

第1回目となる今回は、研修直後に手応えがあったとしても、それが現場の変化につながらない理由。そして、研修内容を管理職が実践するための4つのポイントについて全体像をご紹介します。

研修直後の手応えと、1カ月後の現実

研修の効果は、研修直後のアンケートだけでは判断できません。
受講者が前向きな感想を口にしていても、現場での行動が変わるとは限らないからです。

ある会社では、上司が部下の話を聞かず、一方的に指示を出すことが常態化していました。
その結果、部下は「自分で考えても結局は上司の指示どおりになる」と感じるようになり、自ら考えることをやめ、何をするにも上司の指示を仰ぐようになります。

主体性を失った部下に対して、上司は「指示をしないと部下は動かない」と感じ、さらに指示を出すようになります。
こうして、上司の指示が部下の主体性を奪い、その部下の姿を見た上司がさらに指示を増やすという悪循環が起きていました。

そこで、上司が部下の話を聞き、主体性を引き出すことを目的として、コーチング研修を実施しました。
研修後のアンケートで管理職からは、「部下の話を聞かず、自分の考えを押しつけていた」「これからは、質問しながら部下の考えを引き出したい」といった感想が寄せられました。
研修中の演習も盛り上がり、人事担当者も手応えを感じていました。

ところが1カ月後、人事担当者が事務所を歩いていると、ある課長と部下のやり取りが聞こえてきました。
部下が「取引先から値引きを求められています」と相談すると、課長は部下の考えを聞くことなく、「今回は5%までなら下げていい。先方には今日中に返事をして」と指示をしていました。

人事担当者は、その課長を昔から知っている仲だったので、率直に「なぜ研修内容を実践していないのですか」と尋ねました。すると、次のような答えが返ってきました。
「質問したほうが部下のためになるのは分かっています。ただ、とっさに何を聞けばよいか分からなくなるんです。」

研修内容を忘れたわけでも、コーチングを否定しているわけでもありません。
それでも、職場での行動は以前と同じままでした。

この「分かっているのに、何をすればよいか分からない」という状態は、後ほど説明する「能力」の壁に当たります。
ここで押さえたいのは、“研修内容を理解し、前向きに受け止めていても、それだけでは行動は変わらない”ということです。

「分かった(理解できた)」から「できる(実践している)」までには距離がある

第1章の課長は、研修内容を理解し、必要性にも納得していました。それでも、実際の場面では行動に移せませんでした。
研修で得られる理解は、行動変容の出発点にはなります。しかし、会社が期待している変化は、現場で行動を起こし、その行動が定着した状態です。

では、「分かった(理解した)」を「できる(実践している)」状態にするには、何が必要なのでしょうか。

同じ「実践されない」でも、原因は4つに分かれる

先ほどのコーチング研修の例にならい、部下から相談を受けても、相手の考えを聞かず、すぐに答えや指示を出してしまう4人の課長がいたとします。
4人はコーチング研修で、「すぐに答えを教えず、質問によって部下の考えを引き出す」という方法を学びました。しかし、研修後も4人とも、行動は研修前と変わりませんでした。

  • 1人目は、次のように考えていました。
    「経験の浅い部下に考えさせても、時間がかかるだけ。最初は答えを教えたほうが、早く育つに決まっている。」
    そもそも、質問によって部下に考えさせることに納得していません。これは、行動を起こす理由となる「動機」の問題です。
  • 2人目は、質問によって部下の考えを引き出すことの重要性には納得していました。しかし、「『あなたはどう思う?』と聞いて、部下が黙った後に何を聞けばよいか分かりません」と話します。
    この課長は、部下の考えを引き出すための知識や技術が十分ではありません。これは、行動を実践するための「能力」の問題です。
  • 3人目は、質問の必要性や方法まで理解していました。しかし、「いつも予定が入りすぎていて、現実的に部下の相談には数分しか使えない」と話しました。
    実践したい気持ちや必要な能力はあっても、それを発揮する時間や場面がありません。これは「機会」の問題です。
  • 4人目は、研修後しばらく質問を実践していました。しかし、部下が成長している手応えを得られず、上司からの反応もありませんでした。やがて「本当にこの方法がよいのだろうか」と迷い、指示中心の関わり方へ戻っていきました。
    新しい行動を後押しする反応や成果がなかったため、継続する動機が薄れてしまったのです。
    これは、行動を続けやすくする「強化」が働いていない状態です。

この違いを整理すると、次のようになります。

  • 動機:その行動を取ろうと思える目的や必要性がある
  • 能力:その行動に必要な知識や技術が身についている
  • 機会:身につけた能力を発揮できる時間や場面がある
  • 強化:行動の後に良い反応や成果が生まれ、その行動が繰り返されやすくなる

この4つは、行動を起こし、継続するために必要な条件です。どれか一つが欠けても、行動は起きにくく、続きにくくなります。
研修後に行動が変わらないとき、「本人の意識が低い」「研修内容が悪かった」と一括りにしてはいけません。
結果は同じでも、実践されない原因は受講者によって異なるからです。

次回は、4つの壁のうち「動機」と「能力」に焦点を当てます。
実践する意味を感じられない管理職と、必要性は理解していても現場で何をすればよいか分からない管理職では、何が違うのかを具体的に考えます。

この記事の監修・筆者

上山琢真
上山琢真人材開発部 コンサルタント

前職では上場企業にて役員を務め、事業拡大フェーズにおいて、アジア地域の海外拠点の運営・マネジメントを担うなど、成長組織のマネジメントを幅広く経験。
また、社員数4名から200名規模へと急成長する企業において、事業と組織の両面から成長を支援する中で、人の活性化こそが組織パフォーマンスと収益性を高める源泉であることを実感する。
現在は、これまでの経験を基に「個が力を発揮できる環境づくり」をテーマに、組織・人材開発の支援に取り組んでいる。

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